出演者のことば

「出演者のことば」を掲載させていただきます。
1
ハイドン/ソナタ第52番 変ホ長調 Hob.XVI:52
第1楽章
一瀬圭子
1794年に作曲されたハイドンの最後のピアノソナタです。
チェンバロやクラヴィコードから強弱など豊かな表現力のピアノフォルテが誕生し、まるでハイドンの歓喜の声が聞こえるような曲です。
華やかで、デュナーミクも転調も変化に富み、ベートーヴェンのソナタに通じていくような素敵な曲。
第65回のコンサートのオープニングとなりますよう、心を込めて演奏いたします。
2
ドビュッシー/ベルガマスク組曲より第1曲「プレリュード」
麗音めぐみ
クロード・アシル・ドビュッシー(1862年- 1918年)は、フランスの作曲家です。
自由な和声法を用いて作曲し、その特徴的な作曲技法から、「印象主義音楽(印象派)」と称されています。
「ベルガマスク組曲」は1890年頃に書かれたドビュッシーの初期作品で、全4曲で構成されたピアノ独奏曲です。Preludeプレリュードは「前奏曲」という意味で、1曲目につけられたタイトルです。
イタリア北部にある壮大なアルプスに広がるベルガモ地方には、中世ヨーロッパの町並みが残っていて、「ベルガマスカ」という舞踊があるそうです。曲の中に自由なリズム(ルバート)がたくさんありそれが即興的で、幻想的です。高音から低音までキラキラしたメロディーは水面に反射した光の移ろい、その美しさと共に胸が高まり感情が込み上げてきます。
ドビュッシーの美しさを教えて下さった故イェルク・デームス先生、そしていつも温かい眼差しでご指導くださり演奏する場を与えて下さった故鈴江比沙子先生に、心深く感謝をして今宵は演奏致します。どうぞお楽しみ下さい。
3
シューマン/リスト / 献呈
片平昌美
この曲は、シューマンが結婚式前夜、愛する妻 クララのために捧げた歌曲集「ミルテの花」の第1曲『献呈』を、リストがピアノ独奏用に編曲したものです。
クララの父に大反対された末に、ようやく結婚を許してもらえたシューマンが、喜びに溢れて、クララへの愛に溢れて作られたもので、12小節から成る1フレーズが様々に彩りを変えて、4回現れます。
テーマの中にある付点音符で、シューマンの弾む心が表現されているようです。
素朴でシンプルなテーマのメロディーが、左手内声に移ると、右手がオブリガートのように、広がりをもって、時には不思議な和音を奏でます。
一旦変イ長調から、ホ長調に転調すると、テーマからは少し離れて、暖かくほっとした感じがしますが、やがて、左手和音の力強いテーマに右手の巾広いアルペジオが重なり、どんどん華やかに展開されます。
アルペジオは、まるで1本の長いリボンが翻るように滑らかに、包み込みますが、それと同時にテーマを奏でることは大変難しく、とても手が大きかったリストならではの編曲で、手の小さい私にはとてもハードルの高いことでした。
大きな喜びと愛に満ちたテーマは、やがて静かに、結びにシューベルトの「アヴェマリア」へと導かれます。
この愛が永遠に続きますように、、、との祈りが込められているようです。
リュッケルトの詩は『君はわが魂、わが心、わが喜び、そして苦しみ』と愛する人を情熱的に讃え続けます。
別世界の歌だなぁ、、、と思いながらも私にとってたいへんに魅力ある曲です。
シューマンのクララへの深い愛を少しでも、皆様に感じていただけるよう、優しい気持ちと感謝を持って、演奏させていただけたら幸いです。
4
ドヴォルザーク /4つのロマンティックな小品 作品75より第1番 第3番
松田美奈子
アントニン ドヴォルザーク(1841〜1904)が1887年に作曲した「4つのロマンティックな小品」はヴァイオリンとピアノの為に書かれた表情豊かな室内楽の名曲です。
近所に住む学生と一緒に演奏する為に、2本のヴァイオリンとヴィオラという三重奏曲として書かれましたが学生には難しすぎた為、彼は編成をヴァイオリンとピアノへ編曲し、現在の形になりました。
第1番は伸びやかに歌いあげます。
第3番は細かく波打つような伴奏に乗せて、情熱的かつ夢見心地な旋律が奏でられます。
ヴァイオリンの特徴を活かして、ロマンティックな雰囲気をお伝えできれば幸いです。
5
フォーレ/組曲「ドリー」op.56 第1番『子守唄』
第4番『キティワルツ』
片平昌美
山脇育子
「ドリー」はフォーレが親しい家族の幼い娘、ドリーに捧げた全6曲の組曲です。
「子守唄」は、とてもゆったり穏やかなテーマを1stが、ほとんどユニゾンで奏でますが、2ndが、多彩な動きや和音で、それを支えて、とても魅力的です。
中間部では転調して、夢の中にいるような揺らぎが感じられ、またテーマに戻って、幼な子は静かな眠りにつきます。
「キティワルツ」は、3拍子ながら、大きな1拍子のように感じながら、前へ前へと進めていきます。
どちらのパートも、単純なスケールのかけ合いがありますが、でこぼこしないように、滑らかに。
中間部では2拍子を感じさせるフレーズがありますが、不思議な和音に支えられて、リズミカルに進みます。
幼い頃からずっと、鈴江先生にご指導いただき、第5回コンサートから弾いている私たち。「いつも楽しくね。」との先生の想いを胸に、今年も心を合わせて、楽しく演奏致します。
6
ベートーヴェン/ソナタ「悲愴」作品13 ハ短調 第1楽章
岡部晴栄
「悲愴ソナタ」として親しまれているこの作品は、ベートーヴェンが若い頃に作曲したピアノ・ソナタです。
「悲愴」という名前はベートーヴェン自身がつけたもので、深い悲しみや苦しみだけでなく、そこに込められた激しさや情熱も表しています。
第1楽章は、重く緊張感のある冒頭から、激しく疾走する音楽へと展開します。その一方で、穏やかで美しく歌うような旋律も現れ、さまざまな感情が揺れ動きます。
悲しみ、激しさ、優しさ、そして情熱――。ベートーヴェンの若々しい心の動きを感じながら、お聴きいただければと思います。
7
シューベルト/グランドロンド イ長調 D951
増尾真里子
荻野育子
1828年、シューベルト最晩年に作曲されたピアノ連弾曲。
明るく躍動的なロンド主題を中心に、対照的な旋律を挟みながら展開する大規模な作品です。
軽快なリズムと大胆な転調、深い和声感覚が込められていて、晩年のシューベルトならではの陰影を鮮やかに描き出します。
シューベルトが歌曲で培った「旋律が自然に歌い出す感覚」を大事に、明るく、穏やかに、最後は幸福感に満ちて、柔らかいテンポで演奏したいと思います。
8
ショパン/バラード 第1番
ト短調Op.23
森田真紀
この曲は、敵国の司令官でありながら祖国のために戦った青年の物語にショパンが共鳴して生まれたと語られることが多い。ショパンにとって一番不安で、一番孤独だった時の景色が、このバラード1番に映し出されています。
若くして祖国ポーランドを離れ、ウィーンやパリで孤独と闘いながら作曲したショパンの「心の揺れ」や「哀愁」を、技巧の先にある最も大切な要素として語っています。
たった8〜10分ほどの楽曲の中に、静けさ、甘美な旋律、そしてすべてを破壊するような激しいコーダ(終結部)が詰め込まれており、「一編の壮大な物語(小説や映画)を読んでいるかのような音楽」と称されます。
衝撃的な冒頭(序奏):曲の始まりである「重々しい最初の第一音は、聴衆を一瞬で引き込み、これから始まる悲劇や壮大な物語を暗示する「運命の扉を開く音」とも言われています。
ショパンの世界を少しでも皆さんにお届けできたらと思います。


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